支援実績②

社内業務を脱・属人化!

お客様情報

  • 製造業
  • 全国に40以上の拠点があり、10の部門と50の部署からなる。
  • 毎月度の各部署ごと・各部門ごとの業績を報告するための損益計算書を、本社経理部門が取り纏めて作成している。(月次決算作業)

現行の作業の流れと現状

  1. 基幹システムから、当該月度の会計データをすべて取得して、Accessを使用して部署別のデータ集計を行う。
  2. 集計結果をもとに、担当者が報告用のフォーマットに数字を落とし込めて行けるように、手順書を参考に加工作業を行っていく。
  3. 基本的に手順書通りに行えば対応ができるが、イレギュラーが発生する場合もあり、その場合は担当者の過去の経験で対応している。
  4. 現行のAccessのデータ集計方法に若干の不具合がある
  5. なお、Accessと手順書は前任者が作成したもので、前任者は退職している
  6. 作業担当している経理部門内にはAccessに関する知見が無い。

課題・困っていること

報告用の損益計算書のフォーマットを変えたいと、役員会から要望

  1. 担当者も月次決算業務以外の業務も兼任しているため、要望対応に手が回らない。
  2. Accessはじめ、システム全体の知見が内部にないため、どこをどう直したら良いかわからない。
  3. システム変更に伴い手順書やオペレーションの変更の影響範囲の特定ができない。

改善方針

  1. 極力現行のやり方を変えず、今まで通りの手順で行えば、要望に応えられる報告ができるように対応する。
  2. それでもやむを得ず手順等を変えないといけない場合は、影響範囲を漏れなく調査し、手順書内に確実に残していく。
  3. 手順書全体の見直しを行い、実際の業務の流れに合わない手順の変更や、イレギュラー発生時の処理方法を言語化して、誰が担当しても同じクオリティで作成できるようにする。(属人化の排除)

改善後

  1. データ集計を行っているAccessファイルの改修を行うことで、現行の手順書から変わらない操作方法を実現。
  2. 集計方法がおかしいなどの不具合も解消させ、内部ロジックの見直しも行い、処理速度を向上。
  3. 手順書は新しいAccessファイルの画像や、新しい報告書類のフォーマットの画像などを多く使い、経験の薄い人でもイメージが湧きやすい作りに対応。
  4. 担当者の経験などに頼っていた部分については重点的にヒアリング。
    一緒に手順書をもとに操作を行い、「ここの手順で起きえるエラーは?」、「その時ってどうやって対応している?」と確認しながら詰めていき、イレギュラー対応の手順も充実させる。

効果

  1. Access処理速度上昇と手順書の読みやすさ向上から、月次決算作業時間が約10%削減できた。
  2. 誰が対応しても同じクオリティを実現できるようになったため、これまで1人で担当していた業務が複数人のローテーションで回せるようになり、業務量が分散できるようになった。
  3. 役員などの意思決定者にとって使いやすいフォーマットとなったため、会社の意思決定や業績測定への有用性が向上した。

どこの組織でも起きえること

かなり大規模な会社様でのご支援でした。
新卒で入社してから5年~10年程度経っていて、業務のリーダーとして牽引していくことが多い、いわゆる中間層の方々の退職が止まらない状況となっていました。
その影響で、人手不足に苦しんでいるという、多くの企業で起きている現象が、この会社様でも例外なく起きていました。

特にこういった中間層の方々は、業務や作業を中心的に行う方々のため、やり方を自ら確立して、それを部門全体の業務フローとして織り込むということが多いです。
もちろん、部門全体としては統一的なやり方となり品質も担保されるため、良いことが多いのですが
そのフローの根幹を支えているのは、やり方を確立した中間層の方であり、その人しか知らない事柄というものは必ず存在します。
そうなると、業務フローの変更や改善活動もその人しか行うことができず、その人がいなくなった瞬間に、部門内に織り込まれてしまった業務フローを維持することは極めて困難になります。
優秀な人がいる会社ほど陥ってしまう事象なのではないかと考えています。
そのため、外部である私に業務を委任するかたちで、社員だけが知っている事柄を極力減らし、属人化を排除しようという目的も含まれていました。(むしろ、そっちがメインだと思っています。)

属人的な業務を排除し、外部に知見がある人を持っておくことの重要性が出た内容でした。