RPAで手作業から解放!
お客様情報
- 税理士法人
- 顧客の税務業務を行っており、主に決算書や税務申告書の作成を行っている。
課題・困っていること
- 顧客に納品するための、申告後の決算書・税務申告書の書類出力に手間がとられている。
- 会計ソフトから決算書を、税務申告ソフトから税務申告書を出力する必要がある。(いずれもPDFファイル)
- それぞれのソフトから出したファイルを結合したうえで
顧客に見せる用に、出力した書類のページ順を入れ替えて、納品用の書類(PDFファイル)にする。
- 納品用の書類は、顧客に応じてメール添付するかたちで電子納品したり、印刷してファイリングして納品することもある。
- ここまでの作業をすべて手作業でやっている。
改善方針
- 会計ソフト・税務申告ソフトからの出力はマウスクリックが主であるため、ここを重点的に自動化する。
- 納品用の書類のページ順は、すべての顧客で統一されたルールがあるため、それに合わせるかたちで書類を出力するように順序だてる。
- 電子納品、紙納品いずれにも対応できるようにする。
改善後
- 担当者は、「納品出力依頼簿(Excelファイル)」に顧客コードと、納品方法(電子or 紙)を入力する
- RPAは、上記の依頼簿を定期的に参照して、入力があればその顧客の会計ソフトと税務申告ソフトを操作し、納品に必要なファイルを出力する。
- ファイルの結合や、納品書類のページ順の設定もRPAが行い、最終版の納品書類を作成する。
- 納品書類をサーバ上に格納し、担当者に出力が完了した旨を通知する。
- さらに、納品方法で「紙」を指定している場合は、プリンタへの印刷指示もRPAが行う。
- RPAから出てきたものを顧客に渡すだけで納品が完了する。
使用したソフト
- 納品出力依頼簿:Excel
- RPA:PowerAutomate for Desktop
効果
改善前:作業1件当たり平均1時間の作業
改善後:作業1件当たり平均15分の作業
効果:1件あたり45分の削減×年間作業1,000件=年間750時間の削減
はじめの一歩を踏み出す
まだまだ紙文化が残っている状況下で、デジタル化や自動化に興味はあったものの、どうやってやれば良いかわからないというお悩みから
「できるところからやってみましょう。」
「皆さんに効果を実感してほしいので、皆さんがやっている作業を軽くできたらいいですね。」
ということから始まったのが、今回の取り組みでした。
「手間が減るように考えてもらえるのは助かる」という気持ちと、
「慣れている作業を変えられることは抵抗がある」という気持ちの両方がお客様の中でせめぎ合っていたため、手間は減らしつつも、作業手順は大きく変えないという舵取りが求められました。
特に、RPAで自動化をするにしても、今回の場合なら「どの顧客の納品書類を出力するか?」という指示(インプット)を与える必要があります。
このRPAのインプットをどれだけ簡素化できるかが今回の鍵でした。
お客様は、税務申告の際に根拠となる資料を作成するためにExcelをよく使われていました。セルの中に文字や数字を入力し、簡単な式を入れて表を作ることができました。
そのため、今回はExcelの表をインプットにして
「このExcelに、納品出力したい顧客のコードを入れてくださいね」という運用方針にしました。
日常的に使用しているソフトなので、皆様抵抗なく操作していただき、無事に安定稼働をすることになりました。
また、RPAソフトはPowerAutomate for Desktopを使用しました。
理由は他のRPAソフトと比較して直感的に操作がしやすく、利用者が開発しやすいことと、基本的に無料で使用できるためです。
RPAのソフトの種類もたくさんあり、
「そもそも何を入れたらいいのかわからない」
「入れたけど、使い方がよく分からない」
というご相談もよく来ます。
有料のソフトはサポートや機能面が充実していて良い面も多いですが
まずはコストを抑えて効果を実感をしてみるのが良いと考えているため
基本的に私はPowerAutomate for Desktopを推進しています。
(もちろん、他のRPAソフトの方が相性が良い処理等もありますので、やりたいこと次第ではあります。)
このお客様は、今回のご支援でRPAにさらに興味を持っていただき、現在も積極的に改善活動を進めております。
例えば、AI-OCR機能とRPAを連携させて、通帳のコピーなどの紙の書類を読み取らせて
会計ソフトや税務申告ソフトに自動で入力させるという機能の開発も行っております。
単純作業や手作業から解放され、本来の業務に集中することができるようになるという、まさにRPAの良さが最大限に出た内容でした。